籐の生息域は主に赤道近くの経度7~8度の熱帯地方なのですが、良質のものが産出されるのは海洋性熱帯気候であるインドネシア・マレーシアなどに限られます。
その他の大陸性熱帯気候産地のものは粘り強さに欠けるために製品化が困難です。
意外に知られていないのですが、籐の伐採時の生態はトゲがいっぱい生えた青々とした蔓(ツル)であり、この皮を剥いで芯の部分を取り出して乾燥させたものが、普段皆さんがご覧になっている籐となるわけです。
比較的細い籐を引き割って、艶のある表面を活かしたものが敷物などに使われ、表面を削って丸い断面上にした太めのものが家具などに使われるのが一般的です。
籐の断面をよく見ると多数の穴があいていますが、これが樹木の導管にあたり、伐採前には水を多分に含んでいます。
よく映画なんかでジャングルに生い茂った蔓を切って、断面からしたたる水を飲むシーンがありますが、野生の籐とはまさにああいったモノだと思っていただければよいでしょう。こういた乾燥前の籐はしなやかながらも非常に強靭であるため、古くから荷造りに使用されてきました。南洋の大木などは、昔から籐で縛られて運河を流れて世界各国に運ばれてきたわけです。
よく”竹と籐はどう違うのか?”と訊かれますが、まずは生態からしてこの様にまったく違うことがお判り頂けると思います。